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憧れのバス広告

広くて安いマンションを掲げていたHは建設会社に現金支払いを約束する代わりに値引きを要求するなど徹底的なコスト削減を進めていた。
ところが、Hによると、年1億5000万円に上るA社の売り上げはすべてHに依存していた。 これはコストを押し上げる要因となっていた。
O社長は代表取締役だった女性について『信頼の置ける友人』と話している。 これは、コスト削減で得た利益を自家用飛行機の購入に当てたり、信頼できる友人に払っていたりしたものを、会社の経費のなかに移しかえようとしたものだ。 その上でさらに利益を得ようとするから、より厳しいコストダウンに走らざるを得なくなる。
東京都稲城市のグランドステージ稲城に住む男性は、「彼の行為は間接的な殺人です。 そういう思いに至らなかったのでしょうか。
社会全体のモラルが崩れている気がします」といっている。 「間接的な殺人の主犯」は果たしてだれなのだろうか。
われわれも消費者として、いつでも被害者になりうる。 その一方で、生産に携わる者として日常的にコストダウンを目指し、利益を追求している。
消費と生産の円環のなかに陥穿が開いて起きた事件である。 被害者はいるが、加害者は回り舞台のように移っていって、責任の所在がはっきりしない。

ただ、舞台を支える構造が崩れ始めていることだけは確かだ。 今回の耐震強度偽装問題は、欠陥住宅・マンションの被害が完全には救済されないことを国民に明確に教えてくれた。
販売会社、建設会社、設計会社にマンション住民全体の賠償をする資力がなければ、被害救済は不可能であり、一部、園、自治体による買い戻し・建て替えなどの諸施策が講じられることとなっても、損害全額の補填にはほど遠い。 私もマンションに住んでいるが、いま自分が住んでいるマンションの耐震強度が規定未満で、震度5の地震で倒壊の恐れがあるなんていわれたら、怒り狂うことだろう。
また、とてつもない不安感でいっぱいになると思う。 こういった精神的苦痛は通常、民事訴訟では慰謝料というかたちで賠償されることとなるが、日本には懲罰的損害賠償という制度はないので、この慰謝料の額が著しく安い。
やはり、マンション購入に失敗してしまうと、結果的に精神的損害は回復されず、経済的な損害も回復されないケースもあるのだから、マンション取得者は、マンションを選ぶ場合には慎重に慎重を期してほしいと思う。 耐震強度偽装問題のような問題が発生すると、建築基準法ギリギリというコンプライアンスのない考え方が、いかに危険かがよくわかる。
これに対し、平成ロ年に施行された住宅の品確法による性能表示を採用したマンションであれば、安全であるということをいう人もいる。 確かに、今回の耐震強度偽装問題のように建築確認申請さえ偽造でクリアしてしまえば、後はノーチェックでいけるのとは異なり、都合6回の設計図書・現場・完成現場のチェックが入るのだから、偽造を防止する役割を担うことは事実だ。
しかし、性能表示付きマンションだからといって、わけではない。 構造計算書偽造を見過ごしたマンションに設計住宅性能評価書が交付された事例では、耐震等級1という最低レベルで申請がなされている。
なぜ、最低の等級で申請がなされているのか。 答えは簡単で、最低等級であろうと何であろうと、消費者は等級などには目もくれず、「うわあー、性能評価書が付いたマンションだ!評価書がないマンションに比べれば地震に強いんだ!」と勝手に誤解してくれる。

すなわち、性能評価書がブランドとなり、マンションが高く売れるのだ。 もともと性能表示制度は、さまざまな住宅会社が「うちのマンションは地震に強い!」などと根拠のないセールストークを連発していたことから、きちんと消費者が各々の住宅の性能を見比べることを可能にするためにできた性能比較の基準である。
性能比較の基準であるにもかかわらず、「うちは最低等級だ!」と主張することの愚かきにはあきれてしまうが、それを知らずに「地震に強い」と勘違いしてしまう消費者には、「もっと用心深くなってください」と窘めたくなってしまう。 性能表示付きマンションは、性能表示等級が高いものにこそ魅力があるということを知っておいていただきたい。
すべてのマンションがより性能が優れている周辺環境と地盤は物件概要にはないマンション購入の際、売り主側から物件概要が提供される。 この物件概要をみて、当該マンションの概要を購入者は知ることになるのだ。
ところが、注意していただきたいのは、この物件概要には周辺環境と地盤についての記載はなされないということ。 せいぜい、用途地域程度の記載しかなされないのだ。
みなさんは、電車の車窓などから「このご時世、エレベーターもない、小汚いコンクリートの箱に住む人がどこにいるんだろうか?」と悩みたくなるような老朽マンションをみることはないだろうか。 みなさんが購入することとなるマンションも、あと数年もすればそのような目でみられる可能性が高い。
この老朽化したマンションから良好な住環境を備えたマンションへ建て替えを円滑にするため、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」が制定・施行された。 この「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」の制定で、十年もマンションの資産価値を確保することが可能となったのである。
ところが、もしそのマンションの地盤がひどい軟弱地盤で、現状のマンションはいいが建て替えなどできそうもない、または建て替えるときに著しく高額の地盤改良工事費用がかかってしまうようなマンションであったらどうであろうか。 せっかく「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」によって確保される資産価値が、確保されないこととなる。
マンション購入者にとって、地盤は極めて大事なのである。 最近、ウォーターフロントなどの工場跡地で多くのマンションが建設されている。
もともとわが国は、工場から出た廃水などを工場内の土地に埋めてしまうことを禁止していなかったから、工場跡地では土壌汚染があってもおかしくないのである。 工場として敷地利用をするのであれば、別に土壌が汚染されていようとかまわないかもしれない。

しかし、その跡地にマンションを建ててしまうと、その汚染された土で公園がつくられ、幼い子たちがその土で遊ぶこともあるのだから、マンション購入者としてみれば神経質にならざるを得ないところだろう。 現実にも、大阪市北区の大型複合施設「大阪アメニティパーク」内のマンションで、土壌汚染の事実を告げないでマンションを販売していた事件なども発生しているところであり、マンション購入者は、事前に土壌汚染の有無についてしっかりと確認をしておきたい。
家族居住用のマンションであれば、静寂、深い緑、澄んだ空気、そして日当たりを求めたくなるもの。 しかし、マンションの物件概要書には、用途地域の項目は記載されるが、それ以外の要素は一般的には記載されない。
環境を推測できるものとしては、チラシに載っている図面や写真程度であろう。 しかし、マンションを販売する売り主の立場からすれば、チラシの写真に、合の悪い工場の煙突や、ダンプカーの写真などは載せるわけがない。

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